(本書の)テーマはビジネス。しかもお客さんを喜ばせながら儲ける仕組み。専門的に言うなら「ビジネスモデル」です。
私は、ずっと経営学を研究してきました。いわゆる「ビジネスモデル」の専門家です。世間的には高尚な「研究」という枠組みで生きていく中で、経営学の本当のユーザーは一体誰なのかを自問自答するようになりました。
過去には、学術書やビジネス書を上梓してきました。それはそれでエキサイティングなことだったのは事実。
しかし一方で、疑問が生じました。同業の経営学者や、あるいは経営指南をするコンサルタントには、学術書や学会発表でアプローチできました。経営者の方々には、ビジネス書や講演で直接的に訴えかけることもできました。では、一般のビジネスパーソンのみなさんやこれからビジネスをやってみたい学生のビジネスセンスの強化にどれほど貢献できたでしょうか?
経営学のユーザーは、経営学者や経営者ばかりではありません。現場で試行錯誤している多くのビジネスパーソンに対して、経営学からの「学び」を食わず嫌いにさせず、日々の仕事に向き合う目線を変化させるきっかけを提案したいと考えました。
そしてそれには、新しい知識を「インストール」するのではなく、すでにみなさんの中にある言葉や概念を使って、ビジネスの法則を「腹落ち」してもらうことがもっとも重要であると感じました。
できれば素材は、よく知らない海外の企業事例などではないほうがいい。あるいは知ってる企業であっても、詳細なケースは難しい。いっそのこと、誰もが知る「経営以外の素材」をテーマにしたい。
それこそが、経営学に興味がない人に、経営とビジネスの本質を知ってもらうという、われわれ経営学者が取り組むべきことではないかと考えたわけです。つまり、経営についてのハードルが高い方にこそ、この本でスイッチを入れてもらう。いわゆる「ゼロイチ」。それがこの本に流れる裏テーマなのです。
この本は、ビジネスの世界に既に足を踏み入れてしまった、「いまさら聞けない」経営のことで悩むすべての人に有効です。
それだけでなく、「これから経営について勉強しようかな、でも難しそう」と躊躇する人にもです。自営業の方、主婦の方、はたまた大学生、高校生の方までもが、この本が想定する対象です。みなさんの外見はそれぞれ違いますが、「ビジネスがうまくいくようになりたい」という同じ「用事」を持っているはずだからです。
このようなみなさんに対して、この本がドラえもんのポケットになってくれれば、これほど嬉しいことはありません。
お客さんから望まれる、しっかり利益が残る商売を作るには、何を、どんな手順で考えればいいのか?新進気鋭のビジネスモデル研究者、川上昌直氏(兵庫県立大学経営学部 教授)がやさしく解説。 9つの質問に答えるだけで、すごい! と言われる事業のアイデアがザクザク生まれます!
第1章 ビジネスモデルなんて、わかりません!
アイデアが面白いならOK ですよね?いったい何がいけないんですか?
商品とビジネスは違う?結局は何かを売るんだから同じですよね?
「いろいろある」というのはわかりました。まず、何から考えたらいいでしょう?
第2章 9つの質問を表にして、アイデアをまとめよう!
9 つの質問を表にした「9 セル」を使いこなそう!
タテ3 つ、ヨコ3 つのしくみを理解しよう!
自分のアイデアを俯瞰して、ヌケモレを見つけましょう!
パーツとパーツのつながりをチェックしよう!
うまい9 セルの例を教えてください!
第3章 まず、のび太を探そう!
いちばん大事なのがのび太と向き合うことなんです。
あなたの「のび太」を探しに出かけよう!
超あたりまえのことか、苦し紛れのアイデアしか出てきません!
お客さんが商品を使う前後の状況や、あなたの強み・弱みに注目してみて!
何度も書いてるうちに、少しずつコツが身につきます!
第4章 ビジネス道具ミュージアム
川上流「本の読み方のコツ」。頭の中に整理棚をつくろう!
お客さんはなぜ買うのか?ビジネスの根っこを深堀りしよう!
9 セルの2 行目、「利益」のアイデアが広がる「儲け方大全」。
何をどう行えば、どう勝てるのか?この問いに答える「戦略」の古典を読もう。
アイデアの実現には忍耐が必要!孤独に打ち勝つ「ミッション」を。
手押し戦車 さん
2015-03-03
ビジネスは売上を持って来てくれる人は誰かを分かっていないと、独り善がりの視点になってしまう。人はまず、動機付されそして決断して行動する。この時点で3つの行動が必要になる。のび太君の様にやりたいことがあっても決断まで、誰かがサポートし最後は道具にお世話になる。お客さんの行動とのび太君の動きは似ていて、心理の状態や誰かの後押しを待っている。お客さんはワガママだと言うのは売り手が動機付けやサポートを怠っているので勘違いするだけで、お客さんとは魅力の有る基本的な挨拶と笑顔と共感で最高の友達になる
mitsu44 さん
2014-06-21
学術書などでビジネスモデルについて書いてきた著者が、一般向けに読みやすく、かつエッセンスは詰め込んだ良著。 ドラえもんとのび太の関係をキッカケにしてるところも面白かったです。
ササキマコト さん
2014-07-09
ドラ○もんはほとんど関係ありませんでしたが、分かりやすかったです。9つの単純な質問に答えるだけで、現実的なビジネスモデルが出来上がります。アイディアは浮かぶけどなかなか実現できない人は読んでみてもよいかもしれません。実現できないのが、そもそも思いついたアイディアに問題があるのか、あるいはただ行動に移していないだけなのか、判断する指標にできると思います。ちなみにタイトルの「のび太」は「問題児」的な意味ではなく「困っているお客さま」程度のニュアンスです。