本書は、パターン・ランゲージの研究者として世界的に活躍する慶応義塾大学総合政策学部(以下慶應SFC)准教授 井庭崇 氏と建築家・デザイナー 梶原文生氏による共著です。
日本初とも言われるデザインホテル「クラスカ」などを手がけるUDS株式会社を牽引してきた梶原文生氏が長年プロジェクトを通して培ってきた「企画のコツ」を、井庭崇氏の専門である「パターン・ランゲージ」の手法にもとづき32のパターンに分類し、具体的な事例とともにわかりやすく紹介したものです。
パターン・ランゲージとは、一言で言うと「良いデザインや良い実践の秘訣を共有するための方法」のことです。建築家クリストファー・アレグザンダーが考案したこの方法論は、建築分野だけでなく、ソフトウェア、デザイン、ビジネスプロジェクトの多くに適用されています。
企画の携わるすべての方にとって、現場で役立つ「画期的な企画」のコツを言語化してまとめています。何十から何百にのぼるプロジェクトの経験則を言語化し、その共通パターンをあぶり出して名前を付けるパターン・ランゲージの手法を用い、企画を立てる際に意識すべきポイントを32個のパターンにまとめ紹介しています。「企画のコツ」をまとめるのはパターン・ランゲージの世界でも初めての取り組みとなります。
また井庭崇氏による、パターン・ランゲージの解説と、井庭・梶原両氏による対談、梶原氏によるパターン適用のストーリについても紹介しています。
本書の対象は、企画・プロデュース、新規事業にたずさわる方々になります。企画・アイデアを練るとき、ビジネスを考えるとき、参照することで、きっと新たな知見とヒントが得られるでしょう。
はじめに
第一部 企画のコツを共有する
対談:梶原文生×井庭崇
1.社会を良くするための「企画のコツ」を提供したい
2.「企画」の仕事
3.パターン・ランゲージとは
4.「企画のコツ」をパターンとしてまとめようと思った動機
5.パターンにすることの効果
6.マニュアルやケースとの違い
7.パターンを通して見るUDSの事例
8.未来を予感させるもの
[解説]経験則を共有するパターン・ランゲージ
第二部 プロジェクト・デザイン・パターン
プロジェクト・デザイン・パターンの読み方
プロジェクト・デザイン・パターン一覧
CORE:企画者として持つべき哲学
ストーリー1:企画の哲学
No.1 企画の哲学
LEARN:情報をつかむ…企画の種は情報にあり
ストーリー2:自分の感覚
No.2 買ってみる/No.3 直に仕入れる/No.4 体感判断
ストーリー3:整理と編集
No.5 偶然の取り込み/No.6 自分なりの引き出し/No.7 仮組み把握
ストーリー4:他者からの学び
No.8 予想とのギャップ/No.9 ダメ事例の研究/No.10 情報補給
CREATE:企画をつくる…企画づくりで押さえるべきポイント
ストーリー5:企画の要
No.11 言われてみれば欲しかったもの/No.12 隠れた良さ/No.13 アイデアの重ね合わせ
ストーリー6:アイデアの整理
No.14 徹底リスト/No.15 考えるための点数化/No.16 相談の順番
ストーリー7:アイデアの深化
No.17 愛着が生まれる余地/No.18 実現のリアリティ/No.19 なぜの掘り下げ
ストーリー8:企画のつくり込み
No.20 基本の価値/No.21 どうやるかの突き詰め/No.22 くずしのポイント
ストーリー9:企画の強化
No.23 ひとことで言う/No.24 なりきって考える/No.25 未来を織り込む
LIVE:企画人として生きる…企画人としての「自分」と「相手」との付き合い方
ストーリー10:自分らしさをつくる
No.26 好きなことを増やす/No.27 自分なりの強み/No.28 目標にする三人
ストーリー11:パートナーとの関わり
No.29 感性の相性/No.30 一緒につくる/No.31 プロとしての主張
PLEASURE…もう一つの企画
ストーリー12:楽しい記憶
No.32 楽しい記憶
第三部 プロジェクト紹介
01.コーポラティブハウス
02.ホテル アンテルーム 京都
03.ホテル カンラ 京都
04.キッザニア東京
05.有料老人ホーム(投資ファンド)
06.CLASKA
07.代々木VILLAGE
08.WEEKEND HOUSE ALLEY
おわりに