『枕草子』や『源氏物語』など、現代でも親しまれている古典文学、特に平安王朝文学が数多く書かれた平安時代中期。いわゆる十二単に代表される平安文化が花開いた時代です。古典の授業で触れることもあり、寝殿造りと呼ばれる建物や襲の色目、ゆったりとしたシルエットの装束などは多くの人が想像している平安時代のイメージでもあります。
でも、平安時代の貴族達は実際にはどんな日常を暮らしていて、美しい装束はどんな着心地だったのでしょうか?絵巻物に描かれた貴族たちは、どのような人々だったのでしょうか?当然ですが、彼らも私たちと同じ人です。トイレにも行き、食事もします。病気で体調を崩すこともあれば、元気にスポーツを楽しむこともあったのです。千年前にも、私たちと同じ人々が仕事をしたり勉強をしたり、食事をしたり、恋をしたりしていたのです。
この本では、「源氏物語絵巻」や「年中行事絵巻」など、平安時代の絵巻物に描かれた様々な場面をできるだけリアルに感じられるような写真で再現しました。朝廷への出仕や蹴鞠、垣間見、働いたりくつろいだりする女房達など、謎の平安貴族「承香院」の暮らしを軸に織りなす「承香院絵巻」。平安人と文化をリアルに楽しく知ることができます。
また、平安文化についての基礎知識や、特に、記録を元に著者がこれまでに実際に再現した平安時代中期の仕様の装束についても豊富な写真を添えて解説。装束を着用した全身写真は様々なアングルを掲載し、絵巻物によく描かれるポーズもたくさん掲載しています。実際に着て動き、絵巻物に見られる姿勢になることによってできる、装束の皺や乱れまで観察でき、イラストを描く方にも参考にしていただけます。巻末には、日本を代表するアニメーション映画監督である片渕須直監督、日本古代史や古記録学の第一線で活躍する倉本一宏先生との対談も収録。平安文化について広く楽しくビジュアルでも親しんでいただける、こだわりの一冊です。
〈著者紹介〉
承香院(じょうこういん)
平安時代・周辺文化実践研究家。平安時代の装束や文化を実践しながら独自に研究。平安中期を中心とした装束を縫って着る、様々なものを復元し自作する、楽器を奏で、絵巻を眺め、花を愛で、和歌を詠み、自分の体で体感することでリアルな平安時代中期の姿を日々探求している。
〈担当編集より〉
平安文化への好奇心と熱意、何より愛情溢れる承香院さんの研究と実践の積み重ねが詰まった本です。1着1着調査報告などを元に裁断図から書き起こして縫われた装束と、絵巻物を再現した写真は見るだけで楽しい!平安文化が好きな人はもちろん、ファッションに興味のある人、クリエイターなどジャンルを問わず幅広い皆様におすすめの一冊。
平安時代の貴族たちは実際にはどんな日常を暮らしていて、美しい装束はどんな着心地だったのでしょうか?絵巻物に描かれた貴族たちは、どのような人々だったのでしょうか?『源氏物語』など王朝文学が花開いた平安時代中期の文化を、装束や絵巻物のシーンを元に再現した写真で解説。平安人の暮らしや感性が身近に感じられる一冊です。
第一章では、平安京や平安貴族の暮らし、有職文様などの平安時代中期の文化について、基礎知識をわかりやすくまとめました。
第一章の目玉は、著者が復元した装束の解説。写真をふんだんに添えてディテールが見やすいように掲載しています。
貴族男性の装束だけでなく、貴族女性の装束も掲載。立ち姿や座った様子など様々なポージングの写真は絵を描く際の参考にも◎。
本書のメインコンテンツとなる第二章は、「承香院絵巻」と題して、絵巻物などを元にした再現写真で構成しています。
出仕や蹴鞠、くつろぐ女房たちなど平安時代の暮らしがリアルに感じられるシーンをたくさん掲載。写真で見る絵巻物です。
他にも平安文化にまつわる著名人との対談、現代で平安文化を楽しむためのヒントなどなど、盛りだくさんの内容です。