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本書では、アプリケーションの共通プラットフォームであるHTML5の一つの応用例として、 インタラクティブな新しい科学コミュニケーションツールとしての可能性を提案します。 物理シミュレーション環境の構築には、【入力】【演算】【描画】の3要素が必要となります。 これまで、【入力】は各実行環境に応じたGUI、 【演算】はC言語などのプログラミング言語、 【描画】は2次元グラフ描写ならgnuplot、3次元グラフィックスならOpenGLというように、 それぞれ独立に環境を用意し、技術を習得する必要がありました。
これに対してHTML5では、これら3要素を統一的に扱うことができ、かつ環境を別途用意する必要もなく、 ウェブブラウザのみで実行可能になったことが、本書がHTML5による物理シミュレーションを提案する最大の根拠です。 さらに今回、【演算】を担うJavaScriptの計算速度が、科学計算などの高速な数値計算に利用されるC言語と比べて、 わずか1割程度しか遅くないことを示すことができました(詳細は本書2.3.3項を参照)。 一般的にJavaScriptは、様々な形式のオブジェクトを取り扱うツールとして利用する場合、 コンパイル言語と比べて処理速度が10倍ほど遅いと言われていますが、 こと数値計算に限れば、C言語にも劣らない計算速度を、現ブラウザで実現できるようになったのです。 このことは、ウェブブラウザが、これまでの単なるウェブページを閲覧するためだけのツールではなく、 本格的な数値計算やシミュレーションなどを実行するプラットフォームとしての性能を十分に有していることを意味します。
HTML5が新しいインタラクティブな科学コミュニケーションツールとして、世界中で活躍する日も近づいているでしょう。
本書の前編はこちら⇒『HTML5による物理シミュレーション JavaScriptでThree.js/jqPlot/jQuery UIを使う』
本書の続編はこちら⇒『HTML5による物理シミュレーション 剛体編 物理エンジンの作り方(1)』