ローレンス・レッシグ(著) , 山形 浩生(翻訳)
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既存のネット関連の本は、所有権強化こそが技術革新につながるという議論を展開し、ネットについても著作権侵害のツールという面だけが強調されることが多かった。本書はこれにまっこうから対立し、所有権強化はかえって技術革新の可能性を殺し、われわれすべてにとって悪い結果をもたらすと明確に論じている。アメリカに追随して各種所有権強化の声があがっている日本にとっても、いま考えなければいけない重要なことだ。前作『CODE』より内容の具体性も高く、マイクロソフト裁判の背景なども詳解する。あまり理解されていない司法省側の議論が、ここで明示され、知的財産権の分野で働く人のみならず、ネットに関心のある一般の読者にも必携の一冊。【原書タイトル】the furure of ideas:the fate of the commons in a connected world
第一部 ドット・コモンズ
第一章 「フリー」
第二章 構成部品:「コモンズ」と「層」
第三章 電線上のコモンズ
第四章 ワイアードされたものたちのコモンズ
第五章 無線のコモンズ
第六章 コモンズの教訓
第二部 ドット・コントラスト
第七章 現実空間での創造性
第八章 インターネットからのイノベーション
第三部 ドット・コントロール
第九章 旧 VS 新
第一〇章 電線-ひいてはコード層-をコントロール
第一一章 ワイアードされた者-ひいてはコンテンツ層-をコントロール
第一二章 ワイヤレス-ひいては物理層-をコントロール
第一三章 何が起きているんだろうか
第一四章 alt.commons(代替案としてのコモンズ)
第一五章 オーリンにはわかっている
えちぜんや よーた さん
2013-04-21
「議論のタネとしては非常に面白いが、読んでどうせいっちゅうんじゃ!」 →その答え”あなたにできる/すべきこと‐それはいまあるイノベーションのプラットフォーム‐インターネットでもいいし、それ以外の各種コモンズ(共有資源)でもいい‐を使って、どんどん新しいものを創り出すことだ。自ら既存の資源を利用してイノベーションを行い、開発を行い、創作を行って、自由を精一杯活用し、自由の持っているポテンシャルを実現することだ”(P419「訳者あとがき」)
roughfractus02 さん
2018-06-01
サイバー法という領域は国境を越えるサイバー空間と国家が作る法の両者に跨るゆえに、米憲法や知財法や同国のIT環境を前提とする著者がこの空間の規制が自由とイノベーションを縮減すると批判する本書の内容は、日本の法やIT環境と異なる部分が多いのも確かだ(日米の知財法でのハブリック・ドメインの考えや著作権法との関係の違い:PDは米では1989年まで存在)。一方、サイバー空間のアーキテクチャ強化の歴史傾向と層(レイヤー)の区別は参照可能であり、本書では、読者は物理層、コード層、コンテンツ層の中にある(2002刊)。
レコバ さん
2014-03-13
技術の進歩を促進するための場作りに関する理念を語った本。著者の主張は知財を所有権のアナロジーで語るのは妥当でない、インターネットのような最良の場を電波の管理についても適用すべきというもの。相対的に声の大きい既得権者が規制を求めるのは当然として、技術の進歩自体が従来不可能だった既成を可能にしていく。