インターネットの初期に描かれた分散・自律・自由の夢はGAFAなどのプラットフォームへの情報集中によってなくなったかのように思えます。
中心的な管理をともなわないブロックチェーンの技術は、こうした一極集中を破壊し、新たな可能性を築くものです。
一連の仮想通貨市場の混乱と停滞によって期待が落ち着いたかにみえるブロックチェーンですが、その可能性は消えるどころか、世界的な産業の取り組みや、実証実験の進展によってますます高まっています。
この本は、これまでテクノロジーとして語られたブロックチェーンをビジネスの手段として捉え、既存産業にどのようなインパクトを与えるのか、どのようなビジネスモデルを描けるのか、人・組織・社会の将来イメージをどのように描けるのかをベンチャー創業者の経験と実践、ビジョンを踏まえた視点で書き下ろしたものです。
[おことわり]
本書の帯には、著者の写真バージョンと中田敦彦さんの写真バージョンの2種類がございますが、
書籍の内容は同じものです。ご了承ください。
序章 ブロックチェーンのいま
第1章 ITの進化
企業から個人へ
PCと携帯電話、個人に近づくIT
3G通信の時代
ポスト携帯電話時代
4Gとポストスマートフォン
「人の機能」に近づくIT
データ収集装置としてのデバイス
人の機能×IoT
5Gは何を変えるか
「四種の神器」とは
レガシー産業に参入していくIT
Amazon GOやメルカリ
ものづくりは足かせ
既存産業とIT
第2章 ブロックチェーンの正体
ブロックチェーンの誕生と4つの技術
ブロックチェーンは「信用」をもたらす
ブロックチェーンの最大の運用例「ビットコイン」
ビットコインブームと「大馬鹿理論」
値上がりする設計
ビットコインは「通貨」になるか
犯人捜しはブロックチェーンの仕事ではない
バンドル/アンバンドル
パブリック/プライベートの違い
ブロックチェーンの認知拡大
「仮想通貨派」と「テクノロジー派」
ブロックチェーンは落ち込み知らず
第3章 普及を阻むもの
ブロックチェーンはビジネスになっていない
Whyブロックチェーン?
法律は超えられない
ブロックチェーンに向かないこと
経営幹部と現場のギャップ
リアルマネーの代替でよいか
既得権益の強さ
売りが「堅牢性」であること
トラブルゼロと言えるか
第4章 ブロックチェーンが拓く未来
ブロックチェーンが国家を消す?
自律分散型組織(DAO)とは
スマートコントラクト
RPAがあらわすもの
イメージ例としてのEU
組織はヒエラルキーからホラクラシーへ
DAOにおける「マネージャー役の人間」
トークン=仮想通貨ではない
トークンがつくる「社会」
なぜ「国づくり」をやるのか
コミュニティは「同好会」だけにあらず
SDGsとの親和性
超競争社会の可能性
都市と地方で社会制度を変える
第3レイヤーのエコノミー
第5章 実験例と想定ケース
[ケース1]医薬品の在庫販売プラットフォーム
[ケース2(アイデア)]テレビ視聴をネットワーク化する
[ケース3]EV充電スタンドをネットワーク化する
EVと日本メーカー
クラウドファンディングとブロックチェーン
情報を仲介するブロックチェーン
台帳を見るビジネス
おわりに
ブロックチェーンは社会インフラ
地域で立ち上げた推進団体
「未来志向」に理解者は少ない