Douglas E. Comer(著) , 吉川 邦夫(翻訳)
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【本書の内容】
本書は
Douglas E. Comer, "Essentials of Computer Architecture, 2nd Edition",
Taylor & Francis Group, LLC. 2017
の邦訳版です。
「コンピュータアーキテクチャ」という学術分野は、コンピュータ科学とコンピュータ工学を抱合しているだけに、深く広大です。
この膨大な知識をすべて習得するのは、専門家ならいざしらず、いわゆるIT系技術者あるいは、そのトバクチに立っている初学者にとっては、無理筋というものです。
とはいえ、これらの知見があれば、より強固な知識の土台を形成し、開発者として一歩も二歩も先に進むことができます。
本書はその膨大な知見の中から「プロセッサ」「メモリ」「入出力(I/O)」の三分野に焦点を当て、プログラマやデベロッパー、それらの初学者にとって、有効な知識の武器となるパートを平易に解説し、より深い知識への踏み台を提供してくれます。
一般教養的なコンピュータの動作原理を、よりプログラミングに近いところで理解するには、本書を入り口に歩を進めるのが近道となるはずです。
【本書のポイント】
・コンピュータアーキテクチャのマップが手に入る
・開発者として一回り大きくなれる
・原理がわかるので緊急時にも慌てないココロをもてる
最初に学ぶ2つのトピックは、本書の残りの部分を読むのに必要な「デジタル論理回路」と「データ表現」である。どの話題にも、必ず「デジタル情報を表現し操作するために電子的な機構を使う」という問題が関わっている。
アーキテクチャの主な領域は3つある。第1の領域である「プロセッサ」の仕事は、計算(たとえば算術演算)と制御(たとえばシーケンスのステップ実行)の両方だ。ここでは基本的な構成要素(ビルディングブロック)について学び、それらのブロックが現代のCPU(Central Processing Unit)で、どのように使われているかを見ていく。
アーキテクチャの主な領域の2つめである「メモリ」システムは、デジタル情報を保存(ストア)し、それをアクセスすることに重点を絞っている。物理的なメモリシステムと、仮想的なメモリシステムの両方を調べ、コンピュータの処理において最も重要なコンセプトのひとつである「キャッシング」を理解する。
3つめの「入出力」(インプットとアウトプット)は、マイク、キーボード、マウス、ディスプレイ、ディスク、ネットワークといったデバイス群とコンピュータとの接続に関する、アーキテクチャの主要領域だ。ここではバステクノロジーについて学び、プロセッサがバスを使ってデバイスと通信する方法を知って、デバイスドライバというソフトウェアの役割を理解する。
最後に学ぶ並列処理とパイプラインは、いろいろな形式で出現する重要なコンセプトだ。ハードウェアの並列化やパイプライン化によって、システム全体の性能を向上させる方法を学ぼう。
第1章●序論と概要
第1部 「基礎」 デジタル論理回路とデータ表現・コンピュータを組み立てる基本
第2章●デジタル論理回路の基礎
第3章●データとプログラムの表現
第2部 「プロセッサ」 計算を駆動するエンジン
第4章●さまざまなプロセッサと計算エンジン
第5章●プロセッサの種類と命令セット
第6章●データパスと命令実行
第7章●オペランドのアドレッシングと命令表現
第8章●CPU:マイクロコード、保護、プロセッサモード
第9章●アセンブリ言語とプログラミングパラダイム
第3部 「メモリ」 プログラムとデータを保存するテクノロジー
第10章●メモリとストレージ
第11章●物理メモリと物理アドレッシング
第12章●キャッシュとキャッシング
第13章●仮想メモリ技術と仮想アドレッシング
第4部 「入出力」 外部接続とデータの動き
第14章●入出力の概念と用語
第15章●バスとバスアーキテクチャ
第16章●プログラム駆動と割り込み駆動の入出力
第17章●デバイスと入出力とバッファのプログラミング
第5部 「高度な話題」 並列処理とパイプライン
第18章●並列処理
第19章●パイプライン処理
第20章●電力とエネルギー
第21章●性能評価
第22章●アーキテクチャのサンプルと階層構造
第23章●ハードウェアのモジュール化
付録A コンピュータアーキテクチャコースのラボ
付録B ブール代数を単純化する規則
付録C x86アセンブリ言語の基本
付録D ARMのレジスタ定義とコーリングシーケンス
yshigeru さん
2021-08-09
「基礎知識こそプログラマにとっての銀の弾丸だ!」という帯の文句がよい。基礎知識こそ最も応用が効くものだと思う。自分は基礎知識こそ最も面白いと思っている。
Q さん
2021-08-28
ソフトウェア設計者に向けてコンピュータがどのように構成されて動くのかその仕組みをトランジスタ/命令セット/メモリとキャッシュ/並列処理/パイプラインなど異なるレベルから概観する本。あくまでも概要なのでこの本を読んでHDLでCPUを作れることはないだろう。また簡潔な説明のために詳細な理解ができない箇所もある。例えばクロックレスロジックの受け手がどのようなHDLになるのか実感できなかった。両線がHIGHになるエッジトリガーを自クロックとは別に検出できれば良いはずなのだが自分のHDL力が不足していて解らなかった
y さん
2021-05-08
メモリ,プロセッサ, IO についてざっくりと知りたかったので。わからない部分も多かったが流して読んでかなり理解が進んだ。しばらくしたら再読したい。