マイセンやウェッジウッド、ヘレンドなど、
百貨店などの洋食器売り場で目にし、
一度は聞いたことのある方も多いでしょう。
美しいシェイプや繊細な絵付けが施された洋食器は
小さな美術品ともいえる憧れの器です。
美しい器には、じつは様々な美術様式や
歴史が隠れています。例えば…
●アウガルテンにつながるウィーン窯を支援したハプスブルク家
●マリー・アントワネットが愛したセーヴル窯
●英国で唯一「ロイヤル」と「クラウン」を冠するロイヤルクラウンダービー
●日本の天皇家御用達の大倉陶園
など、王侯貴族たちの波乱万丈の人間ドラマ。
人物だけでなく、フランス革命やナポレオン戦争、
第一次世界大戦など、大きく歴史が動く時には
新しい食器デザインが生まれてきました。
食器や「やきもの」の基本から、
世界の洋食器ブランドの紹介、映画や
文学作品と洋食器の関係まで盛りだくさんの内容です。
洋食器を「見て」「知って」「使う」ための、
まさに「新しい教科書」です。
■著者プロフィール■
加納亜美子
西洋陶磁史研究家。株式会社アリベ代表取締役。
幼少から洋食器コレクターの父親の影響を受け、
ブランド食器に秘められたストーリー性に興味を持つ。
塾講師、洋食器輸入会社で勤務後、
2019年1月に高級食器シェアリング
サービス「カリーニョ」の運営を始める。
百貨店等の文化サロンや洋食器専門店でのセミナー、
コンサルティングなど幅広く活動している。
玄馬絵美子
株式会社アリベ取締役。薬剤師。加納の実姉。
カリーニョの講座「陶磁器de読書会」講師。
薬剤師として働く傍ら、陶磁器・美術・文芸を
独学で研究。カリーニョの講座では、
世界名作の歴史的、文化的背景を網羅した
文学的読みどころを解説する。
■担当編集からのメッセージ■
眺めるだけだった憧れの洋食器の世界が
歴史や美術、文化とつながる快感!
大事にしまっておいたジノリのカップの背景に
これほど奥深いものが隠れていようとは。
美術館や博物館の展示の理解が深まりますし、
これまで気づかなかった視点を得ることができました。
第1章では、やきものの基本から器の種類、陶磁器の作り方、デザインなど洋食器について知るための基礎知識を解説します。
第2章では、世界の洋食器ブランドをドイツ、フランス、イタリア、イギリス、中欧・東欧・ロシア、北欧、日本の国別に紹介。
各ブランドのページでは、代表的な食器を写真付きで紹介するとともに、関連人物やブランドヒストリーも掲載しています。
各章にはコラムも多数掲載しています。洋食器と文学・映画の知られざる関係、デザインに秘められた物語など読み応え抜群。
第3章では、洋食器に用いられた美術様式を年代順に解説。美術はもちろん、文学や音楽など芸術について広く取り上げました。
各美術様式を用いた洋食器デザインの特徴や、代表的な洋食器を美しい写真を添えてまとめたページも。
第4章では西洋陶磁器や新しいデザインの誕生の背景にある歴史をまとめました。流れを理解すると洋食器がさらに楽しめます。
第5章では、洋食器誕生に関わった王侯貴族や創業者、洋食器を愛した人物など、西洋陶磁器の歴史に足跡を残した人物を紹介。
各章ごとに美しい洋食器の写真と、あたたかみのあるイラストがたくさん。眺めるだけでも楽しい教科書です。