『キャズム』のムーアがハイテク業界における20年以上にわたるコンサルティングの経験から戦略フレームワークをまとめた書籍。基本テーマは、グローバリゼーションがもたらす不連続な変化に対応するために、過去の繰り返しではなく、真に革新的な戦略をどのように立案すべきかという点である。著者の豊富なコンサルティング経験に基づき、著名IT企業の事例が盛り込まれる。また、過去のやり方を踏襲していてはいけないという提言は、まさに現在の日本企業にこそ当てはまるかもしれない。
原書タイトルにもなっている「エスケープ・ベロシティ」はロケットが地球の重力圏を離れて宇宙に飛び立つための「脱出速度」(第二宇宙速度ともいう)を指す。抵抗勢力に打ち勝ち、過去のやり方から離脱するための戦略立案にたとえている。
事例◆カテゴリー・ポートフォリオの管理
アカマイ社の2006年から2011年
事例◆2001年から2010年BMCにおける企業力の創出
事例◆2000年から2010年のラックスペースにおける企業力の創出
事例◆2007年から2010年におけるサイベースのターゲット市場の取り組み
事例◆2003年から2006年のシンボル・テクノロジーズにおける製品力の創出
事例◆2008年から2011年のアドビにおける製品力の創出
事例◆プロジェクトからプレイブックへ
1998年から2010年のコグニザント
事例◆プロダクトからパートナーへ
2001年から2011年のアップル
5 よういち さん
2017-04-17
【TP1202】経営計画立案の際、過去のしがらみから抜け出せず、思い切った成長戦略が描けない状況に陥る。本書では、そんな状況で必要なフレームワークを紹介。今後、世界の人口は13億人増加するが、そのうち先進国で増えるのは、たった9000万人。残りの12億人以上は全て発展途上国。こうしたなかでグローバルに展開する企業は、当然アウェイとしての闘いを余儀なくされる。過去のしがらみとして一番の障害になるのは、"前年度の経営計画"。別名、"過去の引力"。この引力から離脱する速度=エスケープ・ベロシティを身に付けよ!
MATSUDA, Shougo さん
2014-07-19
著者の「キャズム」「ライフサイクルイノベーション」「トルネード」に続く最終章に相当するのが本書。正直一読しただけでは噛み砕ききれなかったので近いうちに再読予定。キャズム/ライフサイクルイノベーション/トルネードにて著者が提示した各段階での特性・課題を包括する"まとめ"というべき考えを改めて整理したい。
チョキ さん
2013-02-20
グローバル企業の行動の背景が垣間見える。日本の企業は同じような困難から別の方法で脱出してきたと思えるが、最近はグローバル企業の真似をして失敗してると感じるが、誰か解析してください。