天井を舞う春秋戦国時代の龍鳳(りゅうほう)文、寿康宮の和璽(わじ)彩画を縁取る魏晋南北朝時代の纏枝(てんし)唐草文、后妃の礼服を彩る唐・宋代の喜相逢(きそうほう)文、紅釉を乗せた白磁碗の上で羽ばたく清代の白鷺文、黄色の瑠璃瓦や赤い壁に、華麗な雕梁(ちょうりょう)ーー。600年の歴史を持つ故宮は、5000年にわたる中華文化の集大成です。
華やかな建築物、衣装、精緻な調度品や磁器など、さまざまな形の文様が表現されてきました。詩的に描かれた四季折々の風物に、吉祥の意を尽くして生まれた無数の文様に、先人たちの美学や哲学が込められています。
本書は、そんな中国文化を象徴する伝統的な文様やモチーフを、緻密で美麗なデジタルイラストで再現しました。色彩の意図を紹介しながら一つ一つの文様の由来と寓意を解き明かし、中国文化の根底に流れる美意識を探ります。森羅万象や神話伝説などを意匠化した文様からは、東洋文明の美学の源流や豊かな物語、匠の技を感じ取れるでしょう。
中華系イラスト、デザイン、絵画、ファッション、インテリア、物語創作など、中国関連の創作に使える資料集としてお役立てください。
●染織、磁器、絨毯、琺瑯器、建築の5ジャンルから117種を厳選して紹介
●117種の文様すべてにCMYK値付きの配色見本を掲載
●神話や伝説上の動物、植物など、さまざまなモチーフをじっくり楽しめる
●複雑な文様の構図や配色アイデアの参考に
〈著者紹介〉
●黄清穗:紋藏中国文様データベースの創始者。現在、広西芸術学院で教鞭を執るほか、『民族芸術』の紋藏コラムを担当。『故宮紋様(故宮の文様)』『中国経典紋様図鑑』『中国紋様之美』『中国喜事紋様図鑑』など文様の専門書10冊を出版し、多くの中国無形遺産継承者研修プロジェクト、国家芸術基金プロジェクトにて講師を務める。
●李健菲:中国文様関連の仕事に携わる。
●紋藏:黄清穗氏が2019年に立ち上げた文様オンライン博物館。「文様―中華民族文化ビジュアルゲノムプロジェクト」に注力し、これまでに歴史、地域、民族、媒体、モチーフの5つのアプローチから500テーマの文様データベースを作成。3万点を超える文様の情報とパターンを分析およびデザインし、中国文様体系の発掘、整理、解読を進めている。
〈訳者紹介〉
陰山有加(かげやま ゆか)
武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業。北京・上海で日系教育機関や台湾系翻訳会社に勤務し、帰国後はフリーランス翻訳者として独立。現在、産業翻訳のほか出版、映像、漫画、ゲームなど幅広いジャンルの翻訳に携わる。
第一章 故宮の文様について
第二章 故宮の文様
染織
動物の文様
植物の文様
その他の文様
絨毯
動物の文様
植物の文様
その他の文様
磁器
動物の文様
植物の文様
その他の文様
琺瑯器
動物の文様
植物の文様
その他の文様
建築
動物の文様
植物の文様