CXaaSは「Customer eXperience as a Service」の略称で、「シーザース」と読みます。クラウドサービスとしての分類はSaaSにあたりますが、従来のSaaSにとどまらない価値を提供しています。
その特徴は、大きく四つあります。
1.SaaSとして、クラウドにてユーザーにITツールを提供
2.提供するITツールに対してユーザーが望むカスタマイズ開発を行う
3.開発を含むテクニカルな作業は、サービスとして専門エンジニアが対応
4.上記の3項目をサブスクリプション型の費用体系で提供
つまりCXaaSはSaaSでありながら、かなりの自由度を確保してユーザーに合わせたシステム構築を実現できるサービスモデルです。
・サブスクリプション型の費用体系の中で、追加費用0円でユーザーニーズに合わせた個別開発を行う
・利用に苦戦するユーザーの代わりに、テクニカルな内容はエンジニアが技術パートナーとしてサポート
著者はCXaaSを定義づけし、CXaaSのエバンジェリストとして活動している寺尾望さん。
CXaaSはITベンダーにもユーザー企業にも大きなメリットがあり、実際、著者の会社で提供しているCXaaSによるサービスの月間解約率は、0.3パーセント以下という驚きの水準で推移しています。
本書では、「2025年の崖」や「IT人材不足」といった問題を抱える日本のIT業界を変える、新しいシステムの形であるこのビジネスモデルについて、詳しく解説しています。
【こんな方におススメします!】
・CTO(最高技術責任者)やその立場にある方
・ユーザー企業のシステム担当者。システム導入の立場にある人
・ITベンダーのサービスや製品の開発担当者
【目次】
第1章 システム活用に苦戦する日本企業
第2章 クラウドへの移行と障壁
第3章 理想を実現する「CXaaS」
第4章 「儲けない」ITサービスが儲かる仕組み
第5章 「CXaaS」誕生まで
第6章 「CXaaS」を可能にする組織運営
第7章 「CXaaS」への期待
はじめに
第1章 システム活用に苦戦する日本企業
1.1 なぜ、現代のビジネスにシステム導入が必要なのか
1.2 日本企業のIT活用は大仕事
1.3 「DX」に焦る経営層
1.4 DXと、「守り」と「攻め」のIT活用
1.5 日本企業の特殊なIT事情
1.6 IT産業下請け文化
1.7 真面目な日本企業
第2章 クラウドへの移行と障壁
2.1 オンプレミス型サービスから始まった
2.2 カスタマイズを好む日本企業と開発手法の関係
2.3 ウォーターフォール開発とオンプレミス型システムの課題
2.4 クラウドサービスの活用によるメリット
2.5 盛り上がるSaaS
2.6 レガシーシステムからの移行、日本企業とのフィットギャップ
2.7 ノーコード、ローコードでのカスタマイズとその課題
第3章 理想を実現する「CXaaS」
3.1 常識外れのサービスモデル「CXaaS」
3.2 技術スペシャリスト「FAE」が顧客の要望をカタチにする
3.3 CXaaSの活用事例
3.4 システム導入担当者の負担を軽くするサービスモデル
3.5 現場ニーズを受けとめるソフトウェアサービス
3.6 経営戦略に合わせたシステム活用の実現
第4章 「儲けない」ITサービスが儲かる仕組み
4.1 細く入れて、長く稼
4.2 自社の技術を売るからこそ儲けとなる
4.3 特定分野への専門化で輝くCXaaS
4.4 お金にならない営業的交渉
4.5 顧客接点にこそエンジニアを置く
4.6 ユーザーニーズが生み出す発明
4.7 カスタマーサクセスにコミットする
4.8 専門知識をもち、実行力のあるパートナーとなる価値
第5章 「CXaaS」誕生まで
5.1 エンジニアが作った会社
5.2 終わりの始まり
5.3 つながる糸と二度目の挫折
5.4 クラウドサービスへの参入とCXaaSの萌芽
5.5 ビジネスにおけるターニングポイント
5.6 CXaaSのマネタイズ
5.7 「CXaaS」を生んだ組織
第6章 「CXaaS」を可能にする組織運営
6.1無駄の少ない組織運営が「CXaaS」を実現する
6.2 CXaaSを運用する組織の基本形
6.3 無駄なく働ける組織
6.4 シンプルな組織統制
6.5 「いい人」であることが価値となる
6.6 SOEからスタートするCXaaSのキャリア
6.7 「いい人」に長く働いてもらってこそ成立する
6.8 最小限の営業体制を実現するために
6.9 皆がエンジニアとして働くために
第7章 「CXaaS」への期待
7.1 CXaaSが一般化した世界
7.2 CXaaSが普遍化した世界で求められる役割
7.3 CXaaS活用に求められるユーザー企業の変化
7.4 AI時代とCXaaS
7.5 日本発のITサービス連合とITサービスの巨人
7.6 プロフェッショナルとして長く働ける社会
7.7 「いい人」であることが価値となる